いぬ+

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11年前の逃避行(後編) 


すっごい怖い感じの花が撮りたーい♪
 
「食事をとることを忘れていたための栄養失調です。身体的には問題はありません。
 それよりも、アルツハイマーだと思われます。きちんとした機関で脳の検査を…」 

義父に街の精神科には通わされていた様子で、何も問題ないと告げらたことを伝えると、
「精神科の必要なのは、お母様じゃない!お父様の方です!」と女性医師が声を荒げる。
自分だけは大きな病院に通っていた義父の素行の悪さは、病院内で有名だった。
性格異常…?それは、それは、ありがたい言葉だ。
その言葉を待っていた。冷静な他の誰かに、わたしの考えを口にして欲しかった。
これで、迷うことなく動ける。

ぼんやり君は恐ろしいイメージになりましぇーん。

このままでは、このまま同じことが繰り返されるだけだと言う医師に、
「では、再度、不必要な検査を全てして欲しい。入院を伸ばして欲しい。」と依頼する。
時間が稼ぎたかった。
何がベストなのか考えたかった。

義姉と一緒に病院の行き来をしているうちに、わかってきた事実もあったが、
母の顔色が良くなっていくのを見ているだけの数日だった。
そんなことをしている内に、義姉が神経質になってくる。
きっと、疲れてきたのだろう。
もう自宅に帰ってくれていい、わたしだけで大丈夫だという言葉を、断るような律儀な人だ。

白黒モードもいとおかし♪

コンビニで買ってきた弁当を食べようと、袋を開けた時、
「ajikoさん、うるさい!父に怒られるわ!静かにして!」と義姉が耳をふさぐ。
うるさい…?何が…?
「父が怒って、包丁でも振り回したらどうするの!」
包丁…?上等だ。振り回してもらおう。
少し足を引きずる親父に刺されるほど、こちらも、鈍くはない。
いや、いっそのこと、かすり傷でも負って、警察沙汰、そして、おしまい。
そんなオーラが出ていたのだろう、
「あんな父でも、わたしの父親なの…」と腕にしがみついてきた義姉の目をみて息がとまった。 

なぜ、気がつかなかったのだろう…。
義姉は、母と同じように食事を取らなくなってきていた。
19歳の時に家を出たきり、母親が亡くなった時にしか帰っていないと言っていた。
どうして、助けてほしいなどと頼んでしまったのだろう…。
虐待だ。
この人は、もう耐えられない。

神のご加護が彼女の上にありますように…

その夜は、前日まで断っていた、神様へのお祈りを一緒にしてあげた。
義姉は宗教に入っていた。無理もない。
子供の頃に、両親から虐待を受けていたこと、家を飛び出して結婚したこと、
親戚の人に「母親の死に目にあわないと後悔する」と連絡をうけて帰ったこと、
母親は、薬とお酒でボロボロで、ゴキブリと一緒に廊下にころがっていたこと、
そんな話を、枕を並べながら聞く。
出るものが全て出揃った感はあったが、ノーアイディアだった。
神様、わたしはあなたを信じてはいません。入信もしません。アーメン。

翌日、まだあったのかと見つけた母の手帳から、探していた人の名を見つける。
母の従妹の陽子ちゃんだ。
はじめ、東京にいることが嫌になった母は、この従妹を頼って慣れない土地で暮らし始めた。
すぐさま、連絡をとり、会えることになった。
義姉をひとりにしてもおけず、他の親戚の家まで送っていく。

色狂いの女のようなイメージの写真が撮りたーい。

10年ぶり以上で会った陽子ちゃんは、もうお嬢さんの時代を過ぎているわたしに、
「いいお嬢さんになって…」を繰り返した。

「愛人ばかりやっていて、男好きの頭の悪い女」と、母が称する陽子ちゃんが、
何かわたしの力になってくれるとは、到底思えなかったが、
小さな頃、わたしはこの人の陽気さと華やかさと、抱きしめてくれる甘い香が好きだった。
知らなかった母の九州での生活のこと、
数日ぶりに食べた手作りのあたたかいご飯、
まわりを気にすることをせずに、夫にやっと長い電話をかけられたこと、それだけで充分だった。
「俺もそっちに行こう。」…ありがとう。でも、来なくていい。帰りたいのだ。

無意味な犬の写真だ~♪

翌朝、コーヒーとトーストの匂いで目が覚めると、
陽子ちゃんが、今日は、自分と出かけようと言う。
「おばちゃん、おばちゃんの為なら、何でも頼みごと聞いてくれるボーイフレンドがおるんよ。」
ふっ、その年で、そんな男友達がいるなどと、なんとも羨ましいかぎりだ。
その人に会ってみるのも悪くないと思った。その日は母の病院には行きたくなかった。

はたして、期待せずに会った陽子ちゃんの彼氏は、
初老の紳士という言葉が似合う、弁護士の息子を二人持つ、ご本人は司法書士だという方だった。
なんて、ビンゴな…。
女の実力は、自分の賢さなんかじゃない。 笑わずにいられなかった。

IMGP6062.jpg 
今、必要がないのなら、お金は置いていきなさい。
飛行機ではなく、新幹線を使いなさい。
役所に行って、転出届だけを出し、後は東京で手続きをしなさい。
一度家に帰ってしまってからではダメだ。病院から行きなさい。

言われた通り、病院から東京に逃げる。
その段になって、義姉が東京に行くことを母にうっかり話してしまう。
そのとたんに、症状が落ち着いていた母が吐き、どこにも行かないと騒ぎだす。
自分でしゃべっておきながら、やっぱり無理なのよと、床に泣き崩れる義姉。
お荷物が二つになった。すぐにそう数えられる自分が嫌だった。

いくつになっても華やかな陽子ちゃん 
SOSで呼びつけられた陽子ちゃんが、華やかな洋服で、婦長と口裏を合わせ、
一時退院でみんなで温泉に行くのだと、母に説明する。
嘘臭いにもほどがあるが、大人の女の芝居はすばらしい。
「お父様がいらしたら、知らない間に退院されていて迷惑だったと、私も先生も言いますので。」
婦長の言葉に頭を下げて病室を出た。

新幹線の中では言われてた通りのことが起こった。
母が東京に向かっていることに気が付き、騒ぎだしたのだ。
「飛行機は、遠くに行くことをお母さんに感じさせてしまうでしょう。
 新幹線には、乗務員の仮眠室があります。
 いざとなった時にはその部屋と自分達の席を換わってもらいなさい。」
そうした。

天使が助けてくれないか…なんて。 
名古屋で降りた義姉の後姿に、陽子ちゃんが言う。
「あの人も、当分、立ち直れないね。もう親父さんが死ぬまで二度と帰らないって言っとたよ。」
すまないことをした。
とても傷つけてしまったことだろう。

東京駅まで迎えに来た夫に、新幹線の中からとったホテルへ陽子ちゃんを送ってもらい、
わたしたちは、指示のとおり、自宅には帰らず親戚の家に向かった。
でも、きっと、義父は追いかけてなんか来ない。
金ならくれてやった。 

紅い梅

今、母は、わたしの家の近くのホームで日々を送っている。
それが、母にとって幸せなのことなのかどうかは、母にも、わたしにもわかない。
わたしのことだ。この先、自分が動きやすいような処置をしただけなのかもしれない。

最悪だと思った2週間も、紅い梅の花が咲くたびに思い出すことはあっても、
それ以上の何ものも今はない。時とはそういうものだ。

ふと、脳裡をよぎるのは、
「父も父だったけど、あなたのお母さんも相当な人だったのよ。
 お母さんが弱って、天秤が崩れて、父に食べられてしまったの。」という義姉の言葉と、
「後悔しないためにもママを連れて帰りなさい。 でも、もう、それ以上のことはしなくていい。
 あんたはもう親孝行はすんどるんよ。 自分のことだけを考えるんよ。」
そう言った、陽子ちゃんの言葉だ…。

前だけを見据えて生きていきたい。





当時、陽子ちゃんが、わたしに、この事を覚えていて、いつの日か、本を書きなさいと言った。
それを聞いた時、この人やっぱりバカだとわたしは思ったものだが、
時を経て、自分がブログなど作って書くとは思ってもいなかった。
先輩女性の言葉は侮れないっ!(笑)
K.T.さん、以前の記事にコメントをありがとうございます。
ちゃんと読ませていただきました。この記事が、わたしのお返事です。
ぐーすかすかすかの犬
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